米国連邦議会議員64名がトランプ政権に朝鮮半島危機の外交的解決を求める

64名の米国連邦議会議員がトランプ大統領による北朝鮮への軍事的威嚇を批判し、外交による解決を求めた。それを受けトランプ大統領は韓国首脳との対談で、外交路線の支持を表明した。

 

 2017年5月末、PNND加盟議員の主導のもと64名の米下院議員からトランプ大統領に意見書が提出された。これはトランプ大統領に北朝鮮に対する軍事的威嚇から非核化交渉を支持する外交路線への転換を求めたもので、一定の役割を果たした可能性がある。

 PNND所属議員であるジョン・コニャーズ・ジュニア(民主党/ミシガン州)、バーバラ・リー(民主党/カリフォルニア州)そしてジム・マガバーン議員らが中心となって作成し、64名の議員が署名したこの意見書は、トランプ大統領の北朝鮮に対する軍事的威嚇を批判し、議会の承認なしに武力行使を行うことは憲法違反であることを彼に示した。ティラーソン国務長官が提言したのと同様に、北朝鮮問題の外交による解決を求めている。

 署名者64名という数字は、朝鮮戦争の休戦合意が締結されてからちょうど64年が経過したことを象徴している。休戦合意は戦闘を停止させたが朝鮮戦争は正式に終結しておらず、根底にある紛争は解決していない。

 「私は若い陸軍中尉として朝鮮半島に派遣されて以来ずっとこの紛争の進展を注視し続けてきた。活発な外交を追求する代わりに悲惨な結末に終わる武力による威嚇の未熟な一手は無謀だ。」米議会における2人の朝鮮戦争経験者の1人であるコニャーズ議員は訴えた。

 また、リー議員は、「朝鮮戦争の退役軍人の娘として、そして退役軍人歳出委員会の一員として、私は外交と非軍事的戦略を最優先する北朝鮮を抑止するための包括的な戦略を大統領が議会に示すよう要求し続けていくつもりだ。」と述べた。

 意見書によれば、「北朝鮮に対する武力行使はクリントン、ブッシュ、オバマ政権下において検討されていたが、北朝鮮からの報復攻撃による受け入れがたいリスクをとらないような軍事的選択肢はないという最終的な判断を全員が下した」。

 意見書はトランプ大統領に対しティラーソン国務長官によって表明された外交路線を堅持するよう求めた。国務長官は先日、トランプ政権の唯一の目標とは朝鮮半島の非核化であると述べ、悲惨な紛争になるリスクの高い政権交代は求めていないとした。

 外交的解決の必要性はPNNDと協力関係にある超党派安全保障グループ代表のトーマス・グラハム・ジュニア氏を含む米国の政策分析家によっても支持されている。

 これを受け、6月30日に行われた韓国のムン・ジェイン大統領との会合でトランプ大統領は外交によるアプローチへの転換をほのめかし、ムン大統領とともに以下のように述べた。
「北朝鮮が正しい道を選択すれば、アメリカと韓国は敵対的な姿勢をとることはせず、国際社会と協調して彼らに明るい未来を提供する準備がある。われわれ両国は高官戦略諮問メカニズムを通して親密に連携しつつ非核化協議のために必要な土台作りに努めることを含む北朝鮮向け共同政策を緊密に調整するつもりだ。」(米韓共同声明)

 ムン・ジェイン大統領は、以下のように述べた。「北朝鮮の核問題を解決することは、任期中に達成できる最も実りの大きな成果となるだろう。トランプ大統領にとっても最大の外交的成果になると信じている。」

 意見書は核問題を解決するだけでなく、「韓国人や韓国系アメリカ人家族の再会や、朝鮮戦争後に北朝鮮に残されたアメリカ軍人の遺物の帰還など相互に関心のある人道的な問題についても解決」をトランプ政権に促した。

 朝鮮戦争・冷戦による戦時捕虜、行方不明者の家族の会の代表を務めるリック・ドーンズ氏は「自分の愛する人々が無事に帰宅するのを祈る何千ものアメリカ人家族と同様に私も戻って父親を家に連れて帰りたい。このような北朝鮮に対する外交的解決への要求は、そのような機会を現実的なものにする。」と述べた。

議会意見書の署名者には下院外交委員会の5名の民主党メンバーとCongressional Progressive Caucusのリーダーを含む。

64人の署名者:
Alma S. Adams (NC-12), Karen Bass (CA-37), Joyce Beatty (OH-03), Don Beyer (VA-08), Earl Blumenauer (OR-03), Suzanne Bonamici (OR-01), Michael E. Capuano (MA-07), Salud O. Carbajal (CA-24), Judy Chu (CA-27),  David N. Cicilline (RI-01), Katherine M. Clark (MA-05), Yvette D. Clarke (NY-09), Wm. Lacy Clay (MO-01), Emanuel L.  Cleaver, II (MO-05), Steve Cohen (TN-09), John Conyers, Jr. (MI-13), Danny K.  Davis (IL-07), Peter A. DeFazio (OR-04), Rosa L. DeLauro (CT-03), Nanette Diaz Barragán (CA-44), Lloyd Doggett (TX-35), Keith Ellison (MN-05), Anna G. Eshoo (CA-18), Adriano Espaillat (NY-13), Dwight Evans (PA-02), Bill Foster (IL-11),Tulsi Gabbard (HI-02), Raúl M. Grijalva (AZ-03), Luis V. Gutiérrez (IL-04), Colleen Hanabusa (HI-01), Alcee L. Hastings (FL-20), Eleanor Holmes Norton (DC-AL), Sheila Jackson Lee (TX-18), Pramila Jayapal (WA-07), Eddie Bernice Johnson (TX-30), Henry C. “Hank” Johnson, Jr. (GA-04), Ro Khanna (CA-17), Brenda L. Lawrence (MI-14), Barbara Lee (CA-13), Ted W. Lieu (CA-33), Alan S. Lowenthal (CA-47), James P. McGovern (MA-02), Gwen Moore (WI-04), Jerrold Nadler (NY-10), Richard E. Neal (MA-01), Rick Nolan (MN-08), Frank Pallone, Jr. (NJ-06), Donald M. Payne, Jr. (NJ-10), Chellie Pingree (ME-01), Mark Pocan (WI-02), Jamie Raskin (MD-08), Bobby L. Rush (IL-01), Janice D. Schakowsky (IL-09), Robert C. “Bobby” Scott (VA-03), José E. Serrano (NY-15), Carol Shea-Porter (NH-01), Louise Slaughter (NY-25), Darren Soto (FL-09), Mark Takano (CA-41), Niki Tsongas (MA-03), Nydia M. Velázquez (NY-07),Bonnie Watson Coleman (NJ-12), Peter Welch (VT-AL), and Frederica Wilson (FL-24)

元記事:www.pnnd.org/article/appeal-64-united-states-congress-members-diplomacy-korea

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